やっと、、、鵺の碑 読了!

先日、夜ごと、移動・隙間時間のお供だった、なつひと京極夏彦著「鵺の碑(ぬえのいしぶみ)」を
無事読み終えることが出来ました。
期待を裏切らない、大満足の内容とボリュームでした。オススメの一冊です。(個人の感想です)。

Wikipediaには「百鬼夜行版アベンジャーズ」との、宮部みゆき氏のコメントが掲載されているが、
たしかに、登場人物が多い、過去作に登場した人物も出てきて、長年新作を待ち望んだファンには
嬉しい構成でした。

個人の感想としては、「(木場修の旦那の曰く)大きな事件が直近何も発生していないのに、気づいた時にはその世界観に引き込まれ、作者の導きによる展開に身を任せ、どっぷり浸かり、まとめ上げられ、読み終わる」作中で言うところの「憑きもの落とし」を読者自身も作中のキャラクターを通じて体験する。というなんとも不思議な読後感に包まれる作品でした。

フィクションの世界と分かっていながら、登場人物が語る事象が、歴史的に本当に起こっていたんじゃないかとリアルに想起させる点については、作者の表現力にただただ感嘆の一言です。
一読では、詳細な部分までつかみきることが出来ないのもこのシリーズの面白いところ(私の理解力の問題か…?)
繰り返し手に取り、検証しながら「ここの描写が、あそこに繋がってるんだ!」と何度も楽しむことが出来るのも、心をグッと捕まれている要因かも。
後半(勝手に解決編と名付けていますが。)部分の疾走感あふれる、物語全体の謎解き、伏線回収は、
見事、さすがとしか言い様がありません。全体分量の都合か、端折りながらでもスピードを上げて結末まで持って行く箇所は有無を言わせず、納得させられる説得力を背景に、読み進めていて非常に心地よいです。

シリーズ全体、各作品共通の感想にはなりますが、個人的には、仮に本シリーズをミステリー/推理小説とカテゴライズすると、本筋とは関係ない、細かな「妖怪」や「生き物」の説明・描写に数十ページを平気で費やしつつ、印象としては全体の流れを滞らせることは無い持って行き方に、ただただ拍手です。ほんとであれば、左右全4段レイアウトの紙面で800頁を超える長編構成は、読むこと自体躊躇してしまうところですが、次読みたいと、どんどん思わせてくれる作品でした。
(贔屓目に捉えている分は多分にありますが)

また、読みやすさも過去作から引き続き、秀逸でした。
表現が下手で申し訳ないですが、ページの送りで、中途半端な区切れが無い読みやすさは健在です。
京極氏の作品に親しみすぎると、他作者の方の作品に違和感を覚えるケースも生じてしまいがちですが、京極氏の構成が独特、唯一で素晴らしいという事実にイヤでも気づかされます。
ページをまたいで文章が続くことが無い。必ずページを捲る時は文章の区切りを迎えてから読み進めることが出来ます。キャラクター(発言者)の心情に合わせて、空白行の挿入でリズムを作ったり、漢字/かな記載を絶妙に使い分け、読者に極力違和感が生じないようにとの、作者、編集者の苦心が垣間見え、個人的には大好きなポイントです。

長々と、まとまり無く、だらだら感想を記しましたが、個人的には心地よい読後感をもって、大満足な一冊でした。
ぜひ、皆様も、読まず嫌いをせず、お手にとって、新たな扉を開いてみてはいかがでしょうか。

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